こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
食と農のコンサルタントの田所かおりです。
今回は、山形県の伝統野菜
「升田ささぎ」についてのレポートです。
山形県の伝統野菜「升田ささぎ」は、
100年以上もの間作られ続けてきた
貴重な在来野菜です。
その魅力を探るべく、
「升田ささぎ」を求めて、9月中旬に
村上さんの畑に伺いました。
こちらが今回お話を伺った
八幡地域の在来野菜を守り育てる会会長の
村上正敏さんです。
由来と命名の経緯について伺いました。
「升田ささぎ」は、10年ほど前、
升田近くの貝沢エリアで
このササギを作り続けてきた
92歳の村上さんの証言から、
その歴史が明らかになりました。
村上さんによると、
嫁入りした時点ですでに
このササギは作られていたとのことです。
そのため、この伝統的なササギに、
地名である「升田」を冠し、
「升田ささぎ」と名付けられました。
ササギについては、
インゲンでもササゲでも
なんでも良いとのこと。
そのため、
この辺りの地域で昔からなじみの呼ばれ方の
ササギで表記しています。
ちなみに、ササギ=ササゲかどうか、
書物で確認することができなかったのですが、
『聞き書山形の食事』では、
豆類の分類が、
「大豆」、「小豆」、「ささぎ」とあり
山形各地の料理名でも「ささぎ豆」という
表記のされ方が多くみられました。
100年もの間作り続けられてきたのは、
実つきがよく、美味しいから。
この「升田ささぎ」は、
親戚の方などに種が渡され、
自家用に現在まで作られてきました。
現在は、2、3家庭で作られていますが、
ほぼ自家消費用のための栽培で、
村上正敏さんは時々販売に出されるそうです。
今回見せていただいた村上さんの畑は
標高500メートルにあるため、
集落とは気候が違います。
そのため、土用の丑の日前後に播種し、
9月下旬くらいから収穫が始まります。
この時期から栽培しないと、
種が取れないそうです。
もちろん種は自家採種です。
ちなみに、集落では1か月後に栽培を
ずらしても問題ないそうです。
「升田ささぎ」の栽培で大変なところを伺うと、
発芽率が悪いということでした。
確かに直播きなので、
畑の株間がバラバラに
なっていました。
味に関しては、あまり大きくしなければ
筋がないし、シャキシャキして美味しいとのこと。
村上さんは、茹でたり、炒めたりして
食べられるそうで、
中でもさっと油で炒めるのが
一番美味しいとのことでした。
帰宅して、「升田ささぎ」を
山形県の道の駅で購入した
白い糸のようなふわふわした見た目の
「ヤマブシダケ」と一緒にさっと油炒めにして
いただきました。
筋がなく、癖のないお味で
シャキシャキの「升田ささぎ」を
楽しむことができました。
100年以上もの間、作られてきた理由が
分かった気がしました。
ほとんど販売されていないため、
手に入れることが難しいですが、
もし、幸運にも見つけることができたら、
ぜひ「升田ささぎ」の魅力を
味わってみてください。
気になった方はぜひどうぞ。
取材にご協力いただきました皆様、
ありがとうございました!
今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。
※参考文献
・『聞き書 山形の食事』 日本の食生活全集山形編集委員会編 農文協