八丈島原産の健康野菜アシタバを訪ねて~あしたば加工工場編~@東京都八丈町

こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
食と農のコンサルタントの田所かおりです。

前回から複数回に渡り、
日本原産の健康野菜「アシタバ」の
レポートです。

秦の始皇帝が求めた「不老不死の仙薬」。

今回は~あしたば加工工場編~と題し、
アシタバの機能性、魅力的な加工品を
ご紹介します。

前回のレポートで千葉さんの畑をご案内
くださった、
有限会社あしたば加工工場社長の
山田幸也さんにお話を伺いました。

初日は、バスツアーのみなさまに交じって
アシタバのお話を聞くことに。
まずは、試食でお出迎えいただきました。

こちらは、ご飯に「明日葉ふわふわ削り節」を
のせたもの。
アシタバの甘みがあって美味しいです。

そして、アシタバジュース。
アシタバの粉末を溶かしたもの。
苦味が全くなく、葉物の自然な風味。
甘みも感じられました。

そして、いよいよ社長のお話の時間です。

島内の生産量は700トン。
全国でのサンチュが600トンなので、
それよりも多い作物。
しかし、高齢化などもあり、
野菜としての出荷が少なくなりました。

2月から3月の新芽は、
甘みがあってやわらかくて美味しい。
2年目のアシタバは
背の高さくらいまで大きくなります。

アシタバの特徴は、茎から出る黄色い汁。
服につくと取れず、
セリ科ではアシタバのみ。

大阪薬科大学が「カルコン」という
名前をつけて発表しました。

この成分は、ガンの転移抑制効果や
糖尿病治療効果など生活習慣病の
予防、治療の可能性がある、と
東京都農林総合研究センターの報告が
あったり、
タカラバイオではNGF(神経成長因子)に
作用し、アルツハイマー病や痴ほう症の
予防、治療に有効である。
と発表されています。

その他、むくみ、神経障害、糖尿病
悪玉コレステロール、血栓、
骨粗しょう症、アトピー性皮膚炎等の予防、
美容アンチエイジングなどに
効果が期待できます。

栄養もバランスよく含まれていて、
特に食物繊維が豊富。
利尿作用の効果が期待できるカリウムも
含まれています。

そんなアシタバを摂取にもってこいなのが、
「明日葉ふわふわ削り節」。

アシタバの苦味の元のクマリンが、
高熱を与えると分解され、
苦味が減って食べやすくなります。
ダブルドラムドライヤーという機会を使って、
特許製法で作られています。

粉末の5gは生に換算すると50gの量で、
簡単に沢山の量をとることができます。

例えば、卵かけごはんに、カレーライスに、パスタに
サッとかけて、手軽に食べる事ができます。

「明日葉ふわふわ削り節」のパッケージ、
実は6種類もあります。
デザイナー学校の学生さんが考えてくれた作品を
どれもステキなので全部採用しました。
(管理が面倒と思いますが、社長の優しさを感じます。)
それで、実はお客様にも好みがあって、
6種類あることで売上が伸びました。
(なかなか興味深いお話です。)

社長のトークが軽快で
アシタバのことが短時間でよくわかり、
あっという間に時間が過ぎました。

ちなみに、八丈黄(八丈島の特産の織物)を
着ているのが、6歳の時のお孫さんが
モデルとなったのキャラクターの
明日葉ちゃん(あすはちゃん)です。
可愛いですね。

明日葉を使った商品は、
明日葉ふわふわ削り節の他、
粉末タイプ、タブレットタイプ、
麺類、八つ橋、カレーなどバリエーションが
沢山ありました。

次は、
翌日の加工現場を見学についてです。

加工されていたのは、
バスツアーの時に説明のあった、
「明日葉ふわふわ削り節」です。

昔は1日に生のアシタバ500㎏、
今はだいたい300㎏を加工されるそうです。

今回の加工には、前の記事でレポートした
千葉さんのアシタバも。

まず、アシタバは丁寧に洗われ、カットされます。

そして、特許製法のダブルドラムドライヤーに
入れていきます。

蒸気はアシタバが持っている水分。
その水分で蒸す状態になります。
一度高温にされることで、
苦み成分クマリンが分解されます。

この高温で蒸された状態のアシタバを
試食させていただいたところ、驚きました。
イメージとはだいぶ異なり、
甘くて美味しかったです。

そして、蒸されて苦みがなくなった
アシタバが、
下に送られながら乾燥され、
削られる仕組みです。

商品は、ふわふわに仕上げるのがベストですが、
梅雨の時期は少しべたっとするそう。
プレスの力を強くすると、
ドラムの間の通り道が狭くなるから
ふわふわにはなるけど、
ドラムにべたっとくっついてしまうそう。

ドラムと削り刃の加減もほんの少しの差で
ふわふわ加減に影響が出るそうです。

こちらは、削り刃を調整しているところ。
熟練の技が必要です。

そしてこちらが削りたてのふわふわ削り節です。

削り節はふるいにかけられ、
パッキングされ商品になります。

アシタバは生の野菜としていただくのも
美味しいですが、
こうして乾燥して手軽に取り入れられるのも
嬉しいですよね。

私も購入して自宅で美味しくいただいています。

すごい健康効果が期待できる明日葉を
食べやすくした加工品は魅力的です。

気になった方はぜひどうぞ。

◆有限会社あしたば加工工場
東京都八丈島八丈町三根4535-1

オンラインショップはこちら。
https://ashitaba-hachijo.com/

山田社長、ご案内と取材対応をしてくださり、
ありがとうございました!

今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。

~マニアックな方向け情報~

主に、栄養価について、
取材の予習として読んだ『あしたば文化論』
(金田弘則著、文芸社)にも下記の記載が
ありましたので抜粋します。
昔から重宝されてきたことが伺えます。

・いまではアシタバの産地である八丈島でも
アシタバの根はあまり食べない。
ちょっと苦味があり、
似ただけではいただけない。
てんぷらやきんぴらごぼう風の料理にすれば
苦味も消え十分に食べられる。
八丈島のお年寄りの方では、
アシタバの根を乾燥し、
細かく刻んで煎じ、
お茶として飲んでいる人もいる。

・江戸の町はアシタバブーム
当時たびたび大流行した伝染病の
「疱瘡」(天然痘)と関係がある。
江戸時代の庶民には疱瘡の特効薬としての
評価が高かったのか、
わざわざ八丈島からアシタバの苗を
取り寄せ庭に植えて疱瘡除けにする
町民も多かったようだ。
いまでいう「アシタバブーム」的
現象が起こったのだ。
そして、もうひとつ八丈小島の
為朝神社のお札も疱瘡除けとして重宝された。
お札をそれぞれの家の門に張って、
為朝大明神のご加護を祈願したのだ。

・アシタバはホウレンソウの
1.5倍の食物繊維。

・アシタバのこの黄色い汁は、
蛾の幼虫に刺されたときや皮膚の
化膿やアレルギーにも効果が
あるとして利用されている。

・アシタバのカルコン類には
いくつかの特筆できる生理作用が
あることがわかった。
一つは、人体に害をおよぼすブドウ球菌、
ルテウス菌などに対して、
市販されている抗生物質と同じ程度の
抗菌作用があるということだ。
さらに注目すべき点は、
アシタバのカルコン類には
発がんプロモーターに対する
抑制作用があることと、
抗エイズ作用があることも研究の結果
確認されたことである
(「八丈草植物研究2001年2号」馬場きみ江)。

・アシタバの乾燥葉を分析した結果、
100g中なんと36gがタンパク質である。
植物性タンパク質がこれほど多量に
含まれているのは大豆に次ぐといってよい。

すごい野菜であることは間違いないですね。
こんな野菜が日本原産であることが嬉しく、
もっと広まって欲しいと思います。

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