こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
やさい直売所コンサルタントの田所かおりです。
今日は、滋賀県の伝統野菜
「杉谷とうがらし」のレポートです。
「杉谷とうがらし」は、滋賀県甲賀市甲南町杉谷地区
のみで栽培されているトウガラシです。
JAこうかの上田さんにご案内いただき、
上杉広盛さんの畑を訪ねました。
上杉さんは「杉谷なすび」も栽培されています。
「杉谷とうがらし」は、シシトウに似た形ですが、
C型に曲がって育ちます。
その歴史は古く、
言い伝えでは江戸時代からあるとのこと。
上杉家では、大正生まれのおじい様より
前の代から栽培されていたそうです。
杉谷地区の伝統野菜は、
ナス、トウガラシ、ウリの3品目があり、
昔は、ナスとトウガラシは主に自家用で、
ウリは奈良漬けなどの材料として、
売っていたそう。
しかし、この3品目、
一旦栽培が途絶えてしまっていました。
ギリギリの復活劇があったのは17、18年ほど前。
滋賀県の職員の方が、伝統野菜を見直す動きをされ、
この地域には3品目があったことが分かりました。
しかし、もうその時は3品目を誰も栽培していなかった。
でも、奇跡的に種を持っている方がいて、
さらに別の方がその種を播いたところ、
奇跡的に芽が出て、復活!
本当にギリギリですね。
その後、種を増殖して、
15、16年前くらいに普及したそう。
そのため、上杉さんご本人が作り始めたのは、
10年くらい前だそうです。
「杉谷とうがらし」の栽培について伺いました。
播種は3月中旬から下旬ごろに行い、
定植は5月下旬から6月上旬ごろ。
収穫は10月いっぱいまで続きます。
「杉谷とうがらし」は皮が軟らかく、
100%辛味のないものができるとのこと。
生でも食べられるし、煮炊きでも、天ぷらでも、
多種多様なお料理で食べてもらえる
美味しいトウガラシといいます。
ただ、その曲がった形状ゆえ、
流通に乗りにくいのが難点。
曲がって育つものは、小さなうちから曲がっているそうで。
大きさも多種多様。
そのため、お客様の用途や好みで選んでもらえるよう
大きさごとに分け重さで袋つめされています。
また、近年の気温上昇で栽培面にも影響があり、
37℃くらいまで上がってしまうと、
先腐れが生じやすくなったり、
十分に水分が吸えず、カルシウム不足が生じ、
果皮が黒く見た目が悪く品質に影響が出てしまうそう。
「杉谷とうがらし」は最高気温30℃くらいまでが
安定して栽培できるそうです。
採種は個々の生産者がされていて、
上杉さんも9月下旬ごろになると、
25個くらい赤く成熟させて種とりをされるそう。
こちらが乾燥中の種です。
気温上昇などで栽培が難しい環境になっていますが、
絶対辛くない杉谷とうがらし」栽培が
長く続くことを願うばかりです。
それではお食事タイムです。
まずは生で食べてみようということで、
カツオのお刺身と合わせていただきました。
カツオに負けてしまうのではないかと思うくらい、
本当に癖がなく生でもあっさり美味しくいただきました。
そして、説明いただいた通り、全く辛くなかったです。
一口サイズに切ってサラダにしても、
美味しくいただけると思いました。
煮物もおすすめとあったので、
関西で手に入れた食材、
厚揚げと黒まいたけと一緒に煮物にしてみました。
色々なお料理にマッチする、おいC(シー)カタチの、
オールマイティーなトウガラシだと思います。
「杉谷とうがらし」は下記の直売所でも販売しています。
◆JAこうか 花野果市水口店
所在地:滋賀県甲賀市水口町水口6111-1
営業時間:AM9:00~PM6:00
気になった方は来シーズンにぜひどうぞ。
今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。