こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
やさい直売所コンサルタントの田所かおりです。
今日は、鹿児島県の伝統野菜
「桜島ダイコン」のレポートです。
「桜島ダイコン」は鹿児島県の伝統野菜として
広く知られた大きな大根です。
平成13年に「第1回世界一桜島大根コンテスト」
が実施されて以降、
世界一大きい大根としてギネスブックにも
認定されています。
野菜としての歴史はとても古く、
『都道府県別地方野菜大全』によると、
~今から190年前に薩摩藩からだされた
『成形図説』に
桜島ダイコンの写生図がのっているが、
名称はその当時から「桜島葍(だいこん)」と
なっていた。
また、貝原益軒の『大和本草付録』には
「薩摩大根」の名称で記載されている。~
とあり、そのルーツは様々な説があるようです。
そんな歴史のある「桜島ダイコン」を取材に
鹿児島在住の大学時代の先輩のアレンジで
桜島へ向かいました。
桜島は東側が大隅半島と陸続きですが、
1914年の大正噴火が起こるまでは、
文字通り島だったそう。
今回は、桜島の西側の鹿児島市街から
年中無休24時間で15分おきに出ている
フェリーを使って行きました。
畑を案内してくださる川口さんと、
道の駅桜島火の島めぐみ館で待ち合わせです。
こちらの道の駅は毎年行われる
桜島大根コンテストの会場でもあります。
(今年はコロナ禍のため、桜島支所に変更)
なんと、花壇に桜島ダイコンが
植えられていました!
花壇の看板には、
「種まきが9月9日
収穫時期は1月から2月ですが、
ここに植え付けしている桜島大根は
種を持つ5月頃まで展示しますので、
日々の変化を観察してください。」
とあります。
さすが、桜島の道の駅です。
トウが立ちお花が咲いた愛らしい姿の
「桜島ダイコン」もありました。
お花は白からピンクがかった紫色の
グラデーションなのですね。
桜島ダイコンを写真に収め、建物へ。
入ってすぐのところに
桜島ダイコンが並んでいました。
大きさといい、美しさといい圧巻です。
使い切れるようカットされたものもありました。
入り口付近のダイコン達の前で
川口さんとお会いできました。
道の駅に並んでいる桜島ダイコンは、
数年前に県で選抜してできた
新品種「桜島おごじょ」。
ちなみに、「おごじょ」は鹿児島弁で
女性を意味するそう。
出荷する場合は、揃いがよい
この品種を使うことが多いようです。
一方で、コンテストには、それぞれの方が
持っている系統を使用します。
こちらはばらつきが多いそうですが、その分、
紡錘形で重さが期待できるものや、
形や色の美しい扁球形のものを
期待して作られるそう。
今年の重さを競う重量部門の優勝は30.45㎏!
(ギネスは31.1㎏)
だったそうです。
川口さんに今年のコンテストに出品された
ダイコンの写真を見せて頂きましたが、
確かに、重量部門の大根は縦横比が
同じくらいの紡錘形でした。
気になるのは、
一般的な「桜島ダイコン」の重さですが、
文献によると、小さいものは4㎏~、
平均すると7~10㎏の重さだそうです。
また、肥大の秘訣は
栽培面では、秋から冬にかけて温暖であること、
耕土が深く膨軟な土質によるものと
考察されていました。
播種が8月下旬から9月初め、
収穫が1月~2月ということで、
北海道でコンテスト用の
「桜島ダイコン」の栽培は
かなり厳しそうです。
残念。
一通り説明をして頂き、「桜島ダイコン」が
栽培されている畑へ向かいました。
見てください!
手前に「桜島ダイコン」が並び、
奥に海も見えます。
草姿が生き物みたいでユニークですよね。
収穫している畑にも連れて行っていただきました。
こちらは、サプリメント用の「桜島ダイコン」の
畑だそうです。
「桜島ダイコン」には、
血管を強くしなやかに伸び縮みさせる機能性成分
「トリゴネリン」が、
青首大根の60倍も含まれているんだそう。
「桜島ダイコン」は大きさだけじゃなく、
中身もモンスター級だったのですね。
収穫は大根を引き抜き
葉と根を切り落としていました。
私もいくつか収穫させていただきました。
重たいのですが、深くまで根が張っていないため、
予想していたよりもすぐに引き抜けました。
そして、園主の方に一つ持って帰るならどうぞ、
ということで、おすすめいただいた大きそうな
ダイコンを収穫させていただきました。
軽トラの荷台に積まれた「桜島ダイコン」。
大きさが伝わるでしょうか。
畑を後にし、洗浄する場所へ行き見学。
そして集荷場へ。
ダイコンは黒いネットの袋にまとめて入れられていました。
一ネットに40個くらい入っているでしょうか。
畑から出荷までの一連の流れが分かりました。
自宅に送る「桜島ダイコン」を洗うため、
川口さんのお宅へお邪魔しました。
川口さんは鶏を飼われていて、
なんと、鶏小屋に「桜島ダイコン」が!
桜島ダイコンの表情、何とも言えない表情です。
鶏は葉っぱの方が好きなんだそう。
鶏達の血管もきっと柔軟に保たれていることでしょう。
そして、発送のためにもう一度道の駅へ。
桜島ダイコン用の化粧箱を用意してもらいました。
だいぶ空間が開いてしまうから、
何か入れたいものがあったらどうぞ、ということで、
「桜島コミカン」などの柑橘類や桜島産のひじきを
購入し一緒に入れていただきました。
道の駅では、特産品の販売もされていて、
「桜島ダイコン」の切り干し大根、漬物、
パウダー、ドレッシング等がありました。
その日の晩御飯は先輩がアレンジしてくださった
豚しゃぶのお店へ。
なんと、こちらの大根は「桜島ダイコン」です。
そして、他にも「桜島ダイコン」の
メニューがありました。
お野菜もお肉も美味しくいただきました。
数日後、自宅に「桜島ダイコン」が届きました。
少し葉がしんなりしていますが、重い。
体重計にのせてみたところ、12㎏越えでした。
縦に包丁を入れ、断面の直径は32㎝。
大きかったです。
さて、この「桜島ダイコン」で何を作ろうか。
色々な大根料理がある中で、
空港で聞こえてきた男性二人の会話に出てきた
「桜島ダイコンの天ぷら」を
作ってみることにしました。
そのままダイコンだけではつまらないので、
鶏肉とみじん切りにした大根の葉と
ショウガを挟んでみることにしました。
天ぷらというより、
創作料理になってしまいました…。
ダイコンに火を通すのに3度揚げ。
「桜島ダイコン」はきめ細やかな肉質。
見た目の迫力に反してお味は繊細です。
葉がとても深い緑色なので、
苦いかと思いましたが、全く苦味を感じず
美味しくいただきました。
まだ冷蔵庫にあるので、しばらく桜島ダイコン料理を
楽しめそうです。
◆道の駅「桜島」火の島めぐみ館
所在地:鹿児島県鹿児島市桜島横山町1722-48
HP:https://www.megumikan.jp/
先輩、川口さん、見学させていただいた畑の生産者
の方々に感謝です。
気になった方はぜひどうぞ。
「桜島ダイコン」は道の駅HPからも購入できるようです。
サプリメントもいいですが、
お料理で「桜島ダイコン」を
味わってみていただければ嬉しいです。
今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。
※鹿児島入り前に抗原抗体検査を実施し、
撮影時以外はマスクの着用を徹底致しました。