![屋久島の代表的な柑橘「ポンカン」を訪ねて@鹿児島県屋久島町](https://seed-to-harvest.jp/wp-content/uploads/2022/01/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-scaled.jpg)
こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
やさい直売所コンサルタントの田所かおりです。
今日は、「ポンカン(椪柑)」のレポートです。
「ポンカン」は鹿児島を代表する柑橘で、
屋久島は県内でも主要産地の一つです。
「ポンカン」は、インド原産の亜熱帯カンキツ。
日本には1896年に導入され、
経済栽培されるようになったのは、大正末期、
1934年には鹿児島県農業試験場の方々が
系統のはっきりした苗木を導入し
栽培が始まりました。
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柑橘類は本当に沢山種類がありすぎて
把握しきれないのですが、
「ポンカン」は、
ミカン区、
コミカン亜区柑香類大果亜類に分類され、
学名は、C.reticulata Blanco。
枝変わりや珠心胚実生から
育成されたものなどあり、
「ポンカン」の中でも種類が分かれています。
「ポンカン」を親にした、
デコポン(商標)として知られる
「不知火」=「清見」×「ポンカン」や、
「早香」=「今村温州」×「ポンカン」
などの品種もあります。
「ポンカン」は亜熱帯カンキツということで、
日本国内では、温暖な地域で生産されています。
昨年11月下旬に屋久島を訪れ、
ちょうど、急いで収穫作業をされていた
川東農園の川東眞稔さんのお話を
伺うことができました。
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こちらが「ポンカン」の樹です。
たわわに実っていて、豊かさを感じます。
大変な時にお伺いしましたが、
笑顔で冗談交じりに
対応していただきました。
例年であれば、
「ポンカン」収穫は11月の最終週から始まり
贈答用として出すので12月20日くらいまで。
しかし、今年は果実に色が着いて、
気温が高い状態で雨にあたると、
水腐れ(生理障害)が生じ腐敗が進むため、
早めに収穫をされていました。
天候の影響か、今年のミカンは
初めてというくらい小さいそう。
2LやLで揃えたいところ、
M、S、Lが多いとのこと。
「ポンカン」は果皮に苦み成分があるので、
ジュースや加工には向かず、
小さい果実は「タンカン」ほど価値がないそう。
※「タンカン」も屋久島の主要柑橘です。
ちなみに、屋久島には「ぽんたん館」という
特産品を扱う施設があります。
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お味は、例年ならば美味しいか、イマイチか
この2パターンなんだそうですが、
今年は、美味しいもの、
酸っぱいもの、イマイチのもの
の3パターンで、ばらつきがあるそうです。
今年は雨が多すぎたとのこと。
また、「ポンカン」栽培で
一番困るのは台風被害とのこと。
一度台風が来ると、
実がぽろぽろ落ちてしまい、
ひどい時は枝まで
被害を受けてしまうのだそう。
白アリやテッポウムシなど害虫の被害もあり、
30年間くらい無傷の樹はないとのこと。
なかなか栽培が大変な果物ということを
理解しました。
数十年間台風に耐え、
3月に花を咲かせ、結実し、
色々なリスクを乗り越えて実った
収穫したての「ポンカン」を
試食させていただきました。
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皮を温州ミカンの要領で剝き始めたのですが。
皮は果実からすぐに剝がれ、
とっても剝きやすいのですが、
剥いたところから
ポロポロと落ちていくんです。
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それを見て、今回ご案内してくださった
屋久島町役場の大堀さんが、
こうやって食べるんですよ!と
二つに割って見せてくださいました。
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私も真似して。
後から、皮のポロポロ感と、
ポンカンが台風に弱いということがリンクし、
妙に納得しました。
皮を剥いている時から
爽やかな独特の芳香があり、
口に入れてみると、
甘みと酸味が優しく、一言で表すなら、
「フレッシュ!」。
美味しくいただきました。
香りが本当に素晴らしく、
芳香剤にしてもらいたいくらいでした。
農家の方は、9月、10月くらいの青い実を
ライムの代わりに焼酎に搾るそうです。
生産者の特権ですね。
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収穫された「ポンカン」は、
この後、エチレン処理され、
青色をとって、箱詰めされて市場へ。
箱詰めの美しさは価格にも反映されるとのこと。
いかにきれいに詰められるかが勝負。
ご両親の代から箱詰めの技術があり、
今は奥様がその技術を受け継ぎ
作業を担われているそうです。
1ヶ月後くらいに、
川東さんの「ポンカン」だったらいいなと
思いながら、
JA鹿児島県経済連の「ふるさと便」の
JA種子屋久の「屋久島ぽんかん」を
お取り寄せしてみました。
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光センサーで撰果されているのですね。
青みが抜けていて、鮮やかなオレンジ色です。
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教わった剥き方で。
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畑でいただいたものよりも、
一層酸味が落ち着いている印象です。
こちらも美味しくいただきました。
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今回の送られてきた「ポンカン」は、
独特の芳香は弱め。
あの芳しい香りは採れたてならではの
特別なものだったのですね。
畑でとても貴重な体験をさせていただきました。
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ピタミンCたっぷりで
風邪予防にもなる「ポンカン」。
ぜひ気になった方は、ぜひどうぞ。
今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。