伊豆大島原産の赤軸のアシタバを訪ねて~大島栽培編~@東京都大島町

こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
食と農のコンサルタントの田所かおりです。

今回は、赤い茎の赤軸アシタバを中心に
伊豆大島のアシタバについて、
大島栽培編としてご紹介します。

今回でアシタバ3部作が完結します。

椿油で知られる伊豆大島は、
伊豆諸島の北部に位置し、
本州の伊豆半島から約25㎞にある火山島です。

中央部には三原山があり、この火山で
島が形成されたのかと思いきや、
資料館の方の説明から、
結構複雑な成り立ちであることが分かり、
率直に地球の活動はすごいなという
感想を持ちました。
この部分を掘り下げると長くなるので、
気になる方はご自身でお調べいただけたらと。

本題に戻りまして、一般社団法人伊豆大島農業生産組合
代表理事 藤田光正さんのご案内で、
複数のアシタバ畑に伺いました。

伊豆大島に自生のアシタバは赤軸です。

昔はアシタバが三原山に沢山自生していて、
3月から4月に取りに行かれたそうです。
そのころは、いくらでもとれたと言います。

今は、大島公園から逃げたキョンに
食べられて、
ほとんど見られなくなってしまいました。
ちなみに、キョンは島の人口以上に繁殖してしまいました。
大好物はアシタバとサツマイモだそう。

そのため今は島内ではアシタバを緑色の網で囲って
栽培しています。

大島でのアシタバ栽培は赤軸(以下レッド)が主体。
東京出荷用は
八丈島産の緑色の軸(以下グリーン)が
好まれるため
両方栽培されている方もいれば、
レッドのみの方もいらっしゃるとのこと。

レッドとグリーンを一緒の畑に植えると、
レッドの方が強く、畑を占領してしまうそう。
レッドの方が茎も太く、
草丈も大きくなるとのこと。

やはり自生の種類の方が
気候に合っているのですね。

出荷用の価格はグリーンの方が良いけれども、
島内ではレッドの方がコクがあるとか苦味が良い
などの理由でレッドを好まれる方も多いそう。
昔、天ぷら屋さんからは、
レッドの方が天ぷらにしたときに
形が保たれるからレッドが良いと
言われたこともあるのだとか。

播種は12月ごろ行い、
成長が良ければ秋ごろから収穫を始めます。
播種のタイミングは人によって異なります。
収穫は、夏場は少なくなるけれども、
基本的に一年中とのこと。

まず伺ったのが、
赤軸のアシタバを栽培している畑です。

こちらがその赤軸のアシタバ
「東京スカーレット」です。

藤田さんが持って下さっているアシタバは、
とても茎の赤味が強いです。

大島でのアシタバ栽培は、
湿った土地で半日陰の環境が良いそうです。

まさに写真のような感じです。

次に伺ったのが、
伊豆大島あしたばの里上條農園さんの畑です。
ハンノキの間にアシタバ畑がありました。

こちらは、取材対応してくださった井村和子さん。
約20年アシタバを栽培されています。
アシタバの出荷と栽培について伺いました。

一昨年、昨年と猛暑でアシタバが溶けてしまい
昨年の11月~12月にかけて播種をされたそう。

小さなアシタバが畑に生えていました。

出荷は、アシタバの丈を32㎝に揃えること、
軸の太さをそろえること、
1束150gで販売しているので、
目減りすることを考慮に入れ160g以上で
束にされています。

また、畑で栽培されているアシタバは、
もともと赤の色素は持っているもの。
少しでも赤味が見られたらレッド、
赤味が全くなければグリーンに分けて
出荷されています。
赤い色は寒い時は強く出るなど、
環境によっても左右されるそうです。

天ぷら用のアシタバは、
葉がしっかり開いたものが求められるそうです。
下の写真の左側が天ぷら用です。

栽培で大変なところを伺うと、
雨の日の出荷とのこと。

天ぷら用の出荷は天候に関係なくあるため、
乾燥機を導入し、
葉茎を乾燥させて蒸れないようにしてから
束ねているとのこと。
一晩中かかっても出荷作業をされるそう。
品質への強い責任を感じました。

大島町の北側にある直売所にも行きました。
アシタバはやはりレッドが販売されていました。
ちょっと感動です。

ちなみに、レッドの観察としては、
レッドには茎全体が赤くなるもの、
節目に赤が強めにでるもの、
葉の縁が赤くなるものなど
様々な赤味の出方があることが分かりました。

キョンの食害により、三原山に自生した
アシタバには出会えませんでしたが、
伊豆大島の赤い茎のアシタバを拝見し、
周辺情報を取材でき、大満足でした。

宿泊先のホテルの夕食で
アシタバの天ぷらとつみれをいただきました。

美味しくいただきました。

あしたば加工工場編で
アシタバの栄養価に触れましたが、
とても健康効果の高い野菜ですので、
もっと身近な野菜になって欲しいと思います。

取材にご協力いただきました皆様、
ありがとうございました!

◆一般社団法人 伊豆大島農業生産組合
http://www.izu-o-shima318agri.or.jp/index.html

今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。

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