八丈島原産の健康野菜アシタバを訪ねて~八丈島栽培編~@東京都八丈町

こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
食と農のコンサルタントの田所かおりです。

今回から複数回に渡り、
日本原産の健康野菜「アシタバ」の
レポートです。

「明日葉」別の名を
「八丈草」「あしたぼ」「アシタグサ」。
ニンジン、ミツバ、セロリと同じ
セリ科の多年草です。

秦の始皇帝が求めた「不老不死の仙薬」。

そんな魅力的で魅惑的な雰囲気も漂う
「アシタバ」について、
お届けしたいと思います。

アシタバは、伊豆諸島に自生していて、
さらには、自生するエリアによって
赤茎と青茎があるようだ、
ということがわかり、
まずは、アシタバの原産地であり、
「八丈草」の名前の由来ともなった
八丈島に取材に行くことに。

八丈島は、伊豆諸島の一つ。
東京都の南方287㎞に位置し、
2つの火山からできたひょうたん型の島です。
羽田空港から飛行機で約55分。 
ヘリコプターやフェリーでも
行くことができます。

歴史的には、縄文時代から
人が住んでいた跡が確認されており、
平安時代には、源為朝、
関ヶ原の戦い後の1606年に宇喜多秀家が
流されたりと、
昔から情報も人も本州と盛んな
交流のあった島でもあります。

島の食の特産品は沢山ありますが、
きっと多くの方が真っ先にアシタバと
答えるのではないでしょうか。

そんな八丈島のアシタバを取材するために、
2月にあしたば加工工場社長の
山田さんのご案内で、
千葉英彬さんの畑を訪ねました。

元公務員をされていた千葉さんは
仕事の傍ら、おばあ様名義の
農業の手伝いをされ、昭和61年ごろから
雑木林を開墾してこられました。
今は100か所ほど畑を持たれ、
息子さんと一緒にアシタバをはじめ
様々な品目を生産されています。

とても研究熱心で、
島の他の生産者の方とは
異なる栽培の仕方を
色々試されているそうです。

まずは、多年草であるアシタバの
栽培サイクルと利用についてお伺いしました。

アシタバと一言で言っても、
利用の仕方で、収穫部位や時期が異なります。

一つは、野菜用。
野菜用には、比較的柔らかい茎葉を
収穫します。

もう一つは加工用。
加工用は、葉や茎、根の2タイプ。
葉や茎は若すぎると加工しにくいため
ある程度育ってから収穫されます。
根は栽培の最後に収穫されます。

こちらは、収穫した茎の断面です。
この黄色い液体がカルコンと呼ばれる成分。
健康効果抜群なんです。

次に、栽培サイクルです。
基本的に、アシタバは3年ほどで花が咲き
種をつけ枯れます。
その過程で、野菜用、加工用に
適したものを収穫していきます。

野菜用は4月から6月にかけて、
加工用は秋ごろの出荷がメインです。

アシタバの性質として、
気温と湿気の高い夏場はデリケートな期間で、
この時期の明日葉は黄色くなったり、
溶けたりしてしまうそうで、
畑に入ると病気が伝染するので、昔から
夏は畑に入るなと言われているとのこと。

驚異的な健康効果から想像すると、
強靭な植物体かと思いきや、
そうでもないことが分かりました。

また、その例えとして、
八丈島では育てられるけど、
小笠原では難しいと
説明してくださいました。
基本的に25度以下が栽培に
適しているそうです。

ちなみに、北海道在住の私も昨シーズンに
アシタバを1株育ててみましたが、
特に何も囲いなどせず、無事越冬し、
今年も葉を広げています。

今回ご案内いただいた畑の株は、
2022年の11月に種をまいたもの。

島の一般的な栽培だと、
種まきは9月から10月が基本で
直播をするそうですが、
千葉さんはプラグ苗を育て、
翌年畑に植え付けているそうです。

そして、
2023年春に野菜用と加工用で出荷し、
秋により育ったものを加工用で出荷、
そして今回のタイミングは加工用を
収穫されているところでした。
株によって生育がまちまちで、
元気じゃないものは
辛抱して待ってやって、
元気な株から収穫されるそうです。

基本的に元気な株に花がつきます。

こちらが、アシタバの花です。
島の中で見つけました。
いかにもセリ科らしい。

開花は6月末くらいから。
大体3年目に花が咲いて
終わりを迎えるます。

根はとう立ちするくらいの
一歩手前で水洗いし、
根の加工業者に搬送されます。
漢方薬として利用されるそうで、
実は高麗人参に化けるくらいの
効果があるそう。

出荷が一番多いのは加工用。
野菜用は庭先栽培のような小規模で
出荷されていたため、あまり値が付かず、
計画生産できる加工用が一番多いとのこと。

栽培のこだわりを伺うと、
研究熱心なだけ沢山ありました。
まずは、先にも記載したプラグトレイに播種。
そして、農薬は使わないようにして、
そのかわり緑肥などを駆使した土づくりで
カバーされていているとのこと。
たい肥は自ら作ったもの。
10年研究されているそうです。

こちらはたい肥を発酵させているところ。

木材チップと鶏糞を発酵して、
ユンボでたい肥を掘ると、湯気がもわっと。

順調に発酵していそうですね。

明日葉栽培で一番大変なのは、
人手がいないこと。
機械化するために、畝間に工夫を加えたり
畑の場所を近隣で増やすなど、
様々な工夫をされていました。

種は、島に育った株から自ら採種されます。
八丈島に自生するアシタバは青茎。
加工用にきれいな緑色が出る
青茎がよいとのこと。
一時期、伊豆大島や自然の種が
混じっていたことがあり、
みんなで赤茎をカットしたそう。
伊豆大島の方が八丈島より寒いので、
赤茎の方が背丈が低く、強かったそうです。

アシタバ料理で好きなメニューを伺ったところ、
天ぷら、おひたし、胡麻和え、
茎のベーコン巻き。
一番食べるのは、生でサラダにしたり、
サッとゆでていただくとのこと。
やっぱり、有機肥料でつくると味がちょっと
違うと笑顔で答えてくださいました。

千葉さんのアシタバやその他のお野菜は、
取材でお伺いする前に、
八丈ストアでお見掛けしていました。

物価高騰している中で、
少子化、お年寄りに喜ばれるものとして、
コンパクトで新鮮なもの、
農薬をなるべく使わないものを
出されているそうです。

私も北海道へ帰る前に2束買って帰りました。
とっても美味しくいただきました。

島では色々なアシタバメニューがいただけましたので、
一部をご紹介します。

アシタバジェノベーゼ。
上にかかっているふわふわもアシタバです。
アシタバの美味しい部分を
ぎゅっとまとめた感じで、
パスタとしてもとっても美味しかったです。

こちらは、アシタバのお団子。
抹茶ではありません。
アシタバの風味が感じられて、
爽やかかつ健康に良さそうで、
罪悪感低めで、ぺろりといただきました。

魅力たっぷりの
日本、八丈島原産の野菜「アシタバ」。
春先から初夏にかけて出回ると思います。

◆八丈ストア
東京都八丈島八丈町三根233-3

ホーム

気になった方はぜひどうぞ。

健康効果は次の加工編でたっぷり書きます。
お楽しみに。

今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事