こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
やさい直売所コンサルタントの田所かおりです。
今日は、伝統野菜「下田なす」のレポートです。
「下田なす」は、
滋賀県湖南市下田地区で栽培されているナスです。
昨年9月下旬にJAこうかの上田さんにご案内いただき、
有限会社ティアイケイ農産
代表取締役の盛岡利宏さんにお話を伺いました。
「下田なす」は、明治以前から下田地区で栽培され、
盛岡さんが所属されている生産部会では、
品質の統一をされて出荷をされています。
「下田なす」の特徴は、ヘタの部分が白いこと。
これは、ナスの成長が早く、
光を浴びていない間に実が成長した部分です。
朝くっきり白いラインが見られます。
一般的な食べ方としては、
ぬか漬けにしたり、
同じく伝統野菜の「弥平とうがらし」とあわせて
夏場にぴりからなすびで夏バテ防止したり、
浅漬けにはまるごとが美味しいとのこと。
ナスのサイズは、
ほおっておいたら、15~20㎝くらいになり、
焼きナスにはよいけれども、
ある程度の大きさに揃えているそう。
小さめサイズは肉質が詰まっていて
歯ごたえが良いんだとか。
「下田なす」は漬物用にも出荷されていて、
湖南氏下田に工場に本店と工場がある
漬物屋の株式会社山上(やまじょう)さんで
近江つけものとして販売されています。
ナスのサイズは小さめ。
山上さんでは他の伝統野菜のお漬物も販売されていて
地域の食材を大事にされているんだなと感じました。
地元に愛されている「下田なす」ですが、
栽培は結構手間がかかる印象でした。
基本的な栽培スケジュールは、
2月下旬から3月下旬に播種、
4月末から5月末に定植し、
7月上旬から遅くて10月中旬まで収穫が行われます。
それ以降も収穫は可能ではあるそうですが、
だんだん寒くなると実の成長が遅くなり、
ヘタのところが白くならないそうです。
でも12月頃ほったらかしに実らせておいたものは、
めちゃくちゃ甘くなり、例えるなら
リンゴのような味と甘さだそうです。
それはそれで魅力的だと思いました。
収穫時期の圃場はこんな感じ。
畝間冠水の跡がわかるでしょうか。
水管理はひたひた。
昼間に水を入れると温度が上がりお湯のようになるので
あまり良くない。
夜にためて、朝に全部抜く。
という作業を数日に1回はしているとのこと。
畑から水が抜けてしまうと
ナスにつやがなくなるので重要だそう。
また、連作障害も出るので、
毎年違う畑で栽培されています。
年間約600本を管理されています。
種は、盛岡さんが栽培している株の中から
良さそうなものを選び種とり用に実を残します。
ちょうどこんな感じになるそう。
元々農協に勤められていた盛岡さんは、
「下田なす」を絶対絶やしたらあかん!
そういう想いもあって、
食べて美味しいって言ってもらえて、
自分が食べても美味しい「下田なす」を
繋いでこられました。
どこでもできるけど、下田は土が水っぽいから
ナスが美味しくなるのかも。
たい肥、栽培へのこだわりなど、
差別化して売るようにしているそう。
気候変動もあり、
昔と全く同じではないかもしれないけれども
「下田なす」の美味しさを守り
みんなに喜んでもらいたいという気持ちが
ひしひしと伝わってきました。
盛岡さんの畑の後、山上さんで手に入れた漬物です。
こちらが、「下田なす」という名の漬物。
こちらが、「下田なす しば」という名の漬物。
そしてこちらが、自作のサラダ。
さっと塩もみした「下田なす」に、
鮮やかなオレンジ色の「弥平とうがらし」でピリッとさせ、
柿と和えてみました。
小さめサイズで収穫された
「下田なす」の歯ごたえは抜群で、
どれも美味しくいただきました。
「下田なす」は下記の直売所でも販売しています。
◆JAこうか 花野果市水口店
所在地:滋賀県甲賀市水口町水口6111-1
営業時間:AM9:00~PM6:00
農産物だけでなく、地域の加工された特産品が沢山あります。
◆株式会社山上
本店所在地:滋賀県湖南市下田3335
営業時間 :AM9:00~PM5:00
(季節により変動があります)
店内は和を基調とした重厚な作りで素敵でした。
気になった方はぜひ来シーズンにぜひどうぞ。
今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。