伝統野菜「開聞岳大根」~絶品とろける美味しさ~@鹿児島県指宿市

こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
やさい直売所コンサルタントの田所かおりです。

今日は、 鹿児島伝統野菜「開聞岳大根」
のレポートです。

「開聞岳大根」は松原田集落に
古くから伝わる巨大な大根で、
1990年に開かれた品評会で「開聞岳大根」と
命名された大根です。
別名、茎葉が傘をさしたように根の部分を
覆っているため、地元では通称
「葉かぶりダイコン」とも呼ばれています。

名前にある開聞岳というのは、
鹿児島県の薩摩半島の
南端に位置する標高924mの活火山で、
とても美しい円錐形で薩摩富士と称されます。

こちらの砂浜近くで待ち合わせ。
この砂浜、
ブラックサンド&ペリドット(宝石)なんです。
素敵でした。

こちらが「開聞岳大根」を栽培されている
ユーファーム株式会社の
浦野敦さん・良美さんご夫妻です。

東京から移住され、
有機農業と宿泊業の二刀流をされています。
指宿は、旦那様のお母様のご実家で、
小さい頃遊びにいらしていたそう。

畑を引き継がれ、今年で就農6年目。
2018年に有機認定を取得されました。
お伺いした時は、
指宿市が出荷リレーのスタート地である、
スナップエンドウとそら豆も見せて頂きました。

スナップエンドウは収穫期。

ソラマメは自然に露地で発芽させるので、
3月終わりごろから収穫時期を迎えるそう。

畑をご案内いただいて、
一番驚いたのは、畑の土。

このタイプの土は初めて見ました。
開聞岳の噴火でこの礫が堆積してできたもの。

水はけの程度を観察してみてとのことで、
畑にバケツ一杯の水を流してくださいました。

水が広がらず、水が吸いこまれていきました。
例えるなら、珈琲のドリップくらいの
速さでしょうか。

畑の特徴として、水はけは良いけれども、
肥料抜けが早いといいます。
また、夜耕していると、トラクターの刃から
火花が出るのだそう…
驚きです。

いよいよ「開聞岳大根」とご対面です。

今年の「開聞岳大根」の生育は、
暑くて雨も降らなくて、
発芽して枯れる、また種を播くという
厳しいものだったそうです。
「開聞岳大根」はお彼岸時期に播種をしないと、
大きく育たないそう。
晩生系統の宿命ですね。

畑に育つ大根の生育はばらつきがあり、
いつもなら2月初めには15㎏くらいあるそうで、
100本くらい収穫できる予定が、
今年は今まで育てた中でも大きいもので15㎏。
なかなか過酷な気象状況だったようです。

大根の大きさは味に影響するそうで、
ある程度大きくないと
本来の味の良さ軟らかさが出ないといいます。

大きく育てるためには、播種の時期の他に
株間も関係します。
「開聞岳大根」の株間は1メートル。
青首大根と同じ株間でつくっても、
美味しくて大きな大根には育ちません。

「開聞岳大根」の特徴は、
葉っぱが根にかぶさるので、
肌が青くならないこと。
冒頭にも紹介した、
「葉かぶりダイコン」の名前通りですね。

畑に育つ大根は、根の部分が見えないのですが、
こうして葉をめくっていただくと、
結構土から白い部分が出ていることがわかります。
面白いですね。

ご好意で、大根を2本抜かせていただきました。
(とっても楽しかったです!)

結構手ごわいと思っていたら、なんと二股(笑)

2本目はこんな感じでした。

重さは、
こちら1本目、9.8㎏。

こちら2本目、4.6㎏。
なかなかの大きさです。

過去には、1990年の『広報かいもん』に、
~松原田大根を特産品にしようと品評会が
開催されました。
当時も栽培面積が減り、五百戸ほどの農家が自家用に
5ヘクタール栽培しているほど。
原種は定かではないが、150年くらい前から松原田集落を
中心に開聞岳山麓で栽培されてきたもの。
まん丸な桜島大根に対し、直径20㎝ぐらい、
長さ50㎝くらいの紡錘形で、
1本7㎏にもなり普通の大根の5倍はある。
この大根は甘く(糖度4度ぐらい)身が軟らかいため、
つるし大根や煮つけ、即席漬け、製菓用として
大変重宝がられていた。~
とありました。

大きさについては、『地方野菜大全』では、
5~8㎏とありました。

浦野さんが持っていらっしゃる系統は、
大き目の系統のようですね

種を見せていただきました。

サヤも種も予想以上に大きく、迫力があります。

伝統野菜は、種の継承が途絶えてしまいかねない
状況のものが多いと伺いましたが、
こちらの「開聞岳大根」、
「生きていれば植え続ける!」と、
とても頼もしく、嬉しいお言葉をいただきました。

大根の大きさゆえ、普通に販売しにくいとのことで、
宿泊のお客様の収穫体験と、
いずれは加工品として商品化されるとのこと。
とても楽しみです。

自宅に帰り、
2本目に抜いた大根をいただきました。

今回の訪問をアレンジしてくださった方からの
情報では「開聞岳大根」がトップレベルで
美味しいとのこと。

それならば!ということで、
スタンダードな大根料理、ぶり大根を作りました。
ちなみにブリは九州熊本産のもの。
お醤油は鹿児島で購入した甘いお醤油を使いました。

大根は、とろけるほど肉質が軟らかく、格別。
青首大根とは比べ物にならないくらい美味しいです。

これはいけない…、
もう青首大根の煮物には戻れないかもしれない。

そう思った食卓でした。

頂いた有機栽培のスナップエンドウも
とても美味しかったです。
ありがとうございました!


◆ユーファームUfarm
https://www.facebook.com/ufarm.kaimonkawashiri/
農産物の購入はこちらからも。
ufarm.base.shop

今回訪問させていただいた浦野さんご夫妻が
営む一棟貸し切りのお宿もぜひ。

◆木の匙
〒891-0602鹿児島県指宿市開聞川尻5451
https://www.facebook.com/kinosaji.kaimonkawashiri/
https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/181046/181046.html

気になった方はぜひどうぞ。
大根の概念が変わるかもしれません。

今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。

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