100年守られた味!山形おきたま伝統野菜「宇津沢かぼちゃ」@山形県飯豊町

こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
食と農のコンサルタントの田所かおりです。

今回は、山形県の伝統野菜
「宇津沢かぼちゃ」についてのレポートです。

「宇津沢かぼちゃ」は
山形おきたま伝統野菜推進協議会により
認定された
山形おきたま伝統野菜の一つです。

認定の条件は、以下の通り。
(1)置賜地域で概ね昭和20年以上前から
栽培されている在来種
(2)置賜地域の歴史と食文化を伝えるもの

現在、山形おきたま伝統野菜として
認定されているのは、19品目に上ります。

その「宇津沢かぼちゃ」を求めて、
9月中旬に宇津沢かぼちゃの里(組合)
代表の渡部恵介さんを訪ね、
組合の皆様からお話を伺いました。

こちらが今回お話を伺った
宇津沢かぼちゃの里(組合)の皆様です。

組合は2014年9月17日設立、
現在6名が所属されています。

「宇津沢かぼちゃ」は、約100年前から
宇津沢地区の屋号の「八郎」宅で
種を守り続けてきたカボチャです。
別名「八郎かぼちゃ」とも呼ばれています。
福祉団体にまとめて出荷した結果、
高い評価と手ごたえを得て販売を開始されました。

ちなみに、宇津沢地区はかやぶき屋根や、
昔ながらの立派な豪雪地帯のお屋敷が
点在する地域です。

「宇津沢かぼちゃ」としての認定基準は、以下の通り。
・伝統的に宇津沢地区で受け継がれてきた
種から生育していること
・宇津沢地区で受け継がれてきた種を使用し、
宇津沢地区内で生産されていること
・オレンジ色で下まで色がついていること
・円形で平たい形
・審査会を開催しえ承認されたもの
・2.5㎏前後の大きさ

こちらが合格した「宇津沢かぼちゃ」です。

特徴は、このクリーム色とオレンジ色の
中間のようなやわらかいオレンジ色。

伺ったのはちょうど
「審査会」が行われた日でした。

審査を行い、色合いと重量で選別します。

一見きれいに見える立派なカボチャでも、
小さな傷があると
腐りやすいのでA品としては扱いません。

ちなみに、こちらはA品に
合格できなかったカボチャ。
例えば、昨年はシーズンに540玉ほど収穫
できたそうですが、
合格したのは半分以下だったそうです。

合格すると、「宇津沢かぼちゃ」の
シールが貼り付けられ
白川温泉白川壮や
道の駅 いいで めざみの里観光物産館に
出荷されます。

輝いていますね!

次に、栽培についてです。
昔ながらの栽培方法は直播で、
今はポット苗を作る方が
多いようでした。
播種は6月初めから末まで、
定植は6月下旬から7月10日前後に
行います。
その後の管理は、追肥と摘心。
ツルの数で実らせる数をコントロールします。
昔の作り方は摘心はしなかったそうです。

また、実ができると、実に光が当たるように
邪魔な葉を取り除きます。

震災後、サルなどの害獣が来るようになり、
電気柵の中でしか栽培ができなくなりました。
そのため、今は平らな畑で栽培していますが、
昔は、土手カボチャといって、
土手に這わせて作っていました。

収穫は播種のタイミングの違いで、
8月10日くらいから、10月中旬くらいまで
続きます。

今は年末くらいまでが保管の目安ですが、
昔は1年くらい室内に吊り下げて
カボチャを保管しておいたそうです。

この辺りはとても雪深い地域で、
昨年は1メートルくらいで少なかったけれど、
例年3、4メートルの積雪があるほど。
2階から家に出入りし、電信柱の上に、
腰かけられるほどの積雪があったようです。

家の作りも昔ながらの囲炉裏だったから、
カボチャをつるしておいても凍らなかった
のではないか。
ということでした。

保管期間が長くなってくると、
カボチャの味も変化し、
ホクホク感がなくなって、
やわらかくなるそうです。

今は、つるして保管するというより、
カボチャを食べやすいように
カットしたり、つぶしたりして
冷凍します。

ちなみに、保管に適したカボチャかどうか
伺うと、皮が薄いカボチャなので、
そんなこともなくて、
もしかすると、昔のカボチャの方が
皮が厚かったかもしれないとのことでした。

採種については、メンバーそれぞれで行います。
収穫後に色、形、食べてみて美味しいかを
確認して、残す種を決めます。

昔、直売所などに並ぶ
他の地域で作られたカボチャは
ほとんどが緑色でしたが、
最近はほとんどが
オレンジ色になったそうです。

「宇津沢かぼちゃ」を購入して、
その種を蒔いているのではないかと。

これは、「宇津沢かぼちゃ」が
魅力的な証明でもありますが、
皆さん少し複雑な心境とお察ししました。

実は、お伺いして真っ先に、食べてみて!と
「宇津沢カボチャ」の煮物や
その他色々なお料理ををいただきました。
カボチャの煮物は2種類。

皮もきれいなオレンジ色で、
調理後はより一層鮮やかで美しいです。

お二方のカボチャの煮物を食べ比べ。
少しずつ味付けが異なり、
どちらも美味しくいただきました。

カボチャ自体のお味は、
ホクホク感があって、
粒子が細かくて、滑らかな舌触り。
美味しいカボチャでした。

皆さんに、好きな食べ方を伺ったところ、
煮物、天ぷら、サラダ、スープなど
様々なお料理が挙がりました。

確かに、カボチャの肉質から、
様々なお料理にマッチしやすいのでは
ないかと思います。

皮ごとポタージュにしてみたところ、
鮮やかなオレンジ色に仕上がりました。

気候の変化、震災後に始まった鳥獣被害など
栽培でご苦労があるかと思いますが、
「宇津沢かぼかちゃ」は
宇津沢地区の皆様のやさしさと団結力に
支えられて守られていくものと感じました。

気になった方はぜひどうぞ。

取材にご協力いただきました皆様、
ありがとうございました!

今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。

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