黒紫色に光るずっしり丸い伝統野菜「杉谷なすび」@滋賀県甲賀市

こんにちは。
北海道在住、
野菜くだものハンター、
やさい直売所コンサルタントの田所かおりです。

今日は、滋賀県の伝統野菜
「杉谷なすび」のレポートです。

「杉谷なすび」は、滋賀県甲賀市甲南町杉谷地区
のみで栽培されているナスです。

JAこうかの上田さんにご案内いただき、
上杉広盛さんの畑を訪ねました。

「杉谷なすび」は、京都の加茂ナスに似た、
大きくて丸い形をしています。
果実は直径10㎝程度、
大きいもので重さ400g近くになり、
手にのせるとずっしりと重みを感じます。

果実の色は黒に近い深い紫色でテカりがあり、
ヘタから下方向に筋がのび、
巾着のような形状をしています。

その歴史は古く、
言い伝えでは江戸時代からあるとのこと。
上杉家では、大正生まれのおじい様より
前の代から栽培されていたそうです。

杉谷地区の伝統野菜は、
ナス、トウガラシ、ウリの3品目があり、
昔は、ナスとトウガラシは主に自家用で、
ウリは奈良漬けなどの材料として、
売っていたそう。

しかし、この3品目、
一旦栽培が途絶えてしまっていました。

ギリギリの復活劇があったのは17、18年ほど前。
滋賀県の職員の方が、伝統野菜を見直す動きをされ、
この地域には3品目があったことが分かりました。

しかし、もうその時は3品目を誰も栽培していなかった。

でも、奇跡的に種を持っている方がいて、
さらに別の方がその種を播いたところ、
奇跡的に芽が出て、復活!
本当にギリギリですね。
その後、種を増殖して、
15、16年前くらいに普及したそう。

そのため、上杉さんご本人が作り始めたのは、
10年くらい前だそうです。

「杉谷なすび」の栽培について伺いました。

播種は3月中旬から下旬ごろに行い、
定植は5月下旬から6月上旬ごろ。
収穫はまとまった数がとれる9月下旬くらいまで。

花が咲いて実が大きくなるまで2週間もかかるので、
台風が来てしまうと
風雨で葉と実がこすれ、実に傷がつき、
一旦、全滅になってしまうそうですが、
今年は幸運なことに、台風が来なかったそうです。

台風などの自然災害の他に、
立ち枯れが連作障害として出やすいそうで、
1本でも出てしまうとすぐに病気が広がってしまいます。
理想は畑の使用を5年間空けることですが、
それもなかなか難しい。

そのため、滋賀大の先生と相談して、
4年ほど前から病気に強い台木について検討し、
今年やっと品質に影響ない台木で
栽培ができたそう。

また、「杉谷なすび」は他のエリアでは上手く
作れるものではないと言い伝えがあります。

実際に、5年ほど前に滋賀大の先生と
研究をしたところ、別の地域で栽培しても、
果皮の光り具合や大きさなど、
本来の「杉谷なすび」の特徴が出なかったそう。

杉谷地区は、
土地の性質が特殊なのかもしれませんね。

とある資料によると
調理は何でも向いているそうですが、
特に緻密な果肉で、軟らかいのに煮崩れしにくく、
夏には「ブリ大根」ならぬ「ブリナス」が
定番料理と書いてあったので、
私も真似して「ブリナス」で。

ナス自体に甘みがあり、
果肉が充実していて詰まってる感じ。
それでいてやわらかく、
2週間育った重量感を口の中で感じながら
美味しくいただきました。

「杉谷なすび」は下記の直売所でも販売しています。

◆JAこうか 花野果市水口店
所在地:滋賀県甲賀市水口町水口6111-1
営業時間:AM9:00~PM6:00

気になった方は来シーズンにぜひどうぞ。

今日はこのあたりで。
食と農の未来がより豊かになりますように。

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